Making jewelry
MAY.10th.

ABOUT:
推薦図書
go to index
DIARIES  
Re:制作日記

BGM Cafe Del Mar Vol. 4,SAHIB SHIHAB AND THE DANISH RADIO JAZZ GROUP
, DJChiku's house Mix(ひさびさに)

朝いつものように洗濯機をまわしながら、メイクをしながら、コーヒーを入れるお湯を沸かしながら、その他いくつものながらをしながら、バタバタと動きまわっていたら、ラジオから“YOUユVE GOT A FRIEND”

を和田アキ子ばりにこぶしを入れて、英語圏帰国子女でもない日本人が発音したときによくあるようでもあり、レゲエ・バンドで耳にするジャマイカン・イングリッシュのようでもある、音節を母音プラス子音の単位で、ぽきっぽきっと切った発音で歌い上げている

のが聞こえてきたので、思わずマックを立ち上げてオンエチェックした。

DANISH RADIO BAND feat ETTA CAMERONだった。

キャロル・キング作のこの曲を、作者自身はもとより、ジェイムス・テイラーが歌い、アレサ・フランクリンが歌い、ダニー・ハサウエイが歌う。

一番好きなのは、ダニー・ハサウエイのライブアルバムに入っているやつ。

CD買わなきゃ。

他にもっといろんな人が、この曲を歌っているにちがいない。誰か、この曲をいろんな人が歌っているCDを作ってくれないかな。


プッチーニ作ジャンニ・スキッキの歌曲“O MIO BABBINO CARO”をときどき聴き較べる。

マリア・カラス、キリ・テ・カナワ、中丸美千絵(絵の文字を古い表記に変換できない。ばかATOK)、林康子を聴き較べる。

みんなそれぞれいいが、とりわけマリアとキリのが好きだ。
マリアのは艶めいていて、しっとりした感じ、
キリのは軽快であっさりした食べ物を好む人が歌っている感じ。

マリアのそれのほうが色気がある。ところでキリはどこの人かしらん?


『推薦図書』いつか毒舌の友Sさんに、「サイトウミナコ知ってる?」と訊かれたとき、「知ってる」と答えたわたしでしたが、同音一字違いの別人でした。

わたしが知っていたのは斉藤濡奈子さん(字あってるかな?)。80年代にマスメディアを賑わしていた人です。わたしは“ポジティブ・シンキング”という言葉をきくたび、この人を思い浮かべます。いま彼女はどこでなにをなさっているかしらん?

Sさんが言っていたのは文芸評論家の斉藤美奈子さんです。初めて斉藤美奈子さんの『文学的商品学』を読みました。おもしろいです。

〈商品情報を読むように、小説を読んでみよう〉と惹句にあります。
1 アパレル泣かせの青春小説  
2 ファッション音痴の風俗小説
3 広告代理店式カタログ小説

この三章が特におもしろかったです。

後にはオートバイ小説だのフード小説だの野球小説だのホテル小説だのバンド小説だのと続き、最後は貧乏小説で締めくくられています。

わたしは〈血中文学濃度〉も〈血中文学批評濃度〉も、きわめて低いので、本を読むとき、文章が陳腐だと、すぐに捨ててしまうんですね。

マゾじゃないんです、こと読書に関しては。

ファッション・センスが悪くて、性描写がひどい小説なんか読みたくないですもん。ですから、この本はためになります。

はなから読む気がしない、日経新聞に連載されていたという、結末で不倫男女が心中するベストセラー小説が、風俗小説の章でバッサリ斬られていました。

読まなくて良かったと思いました。

仕事とはいえ、斉藤さんの文学リサーチには頭がさがりますし、分析の鋭さに感嘆しますし、やわらかな口調でバッサバッサと斬りつけているのが小気味よいです。

斉藤さんが、

2 ファッション音痴の風俗小説 の中で〈ここではやりませんけれど、『失楽園』が得意とする(はずの)性交の場面なども比較してみるといいかもしれません。〉と書いていますが、ぜひぜひやってほしいです。【ためになる官能小説】というくくりでいかがでしょう。

ちなみに個人的趣味ですが、斉藤さんも本書で取り上げている、金井美恵子の『恋愛太平記』(風俗小説の章で、この分野では頭抜けていると書いています)

の冒頭に四姉妹の次女朝子が、同棲して七年になる「コンセプチュアル・アーチスト」(80年代っぽいですね)の塩瀬進と彼の王子のアパートで、〈思ったより清潔な万年床(そんなのありですかね?)で「初体験」〉をする記述があります。

二人は〈「台所」で進がお湯を沸かしてベージュと茶色の横縞のマグ・カップとレモン色のマグ・カップに入れたインスタント・コーヒーを飲み〉ながらアートの話をします。

〈朝子は尊敬しているジョージア・オキーフの話をすると、進はオキーフのスカーレット色の大小の陰唇は自分の趣味〈アート上の〉には反するけれど、「女流芸術家」がオキーフにひかれるのはわかるような気がする、と言い、昨夜、自分が分け入ったばかりの陰唇のことを思い出し、同時に分け入られた側の朝子も顔を赤らめながら思い出したので――もっとも彼女は自分のそれを見たことはなかったが――〉

ね、すごいでしょ?「陰唇に分け入る」んですよ。オキーフの陰唇の絵から登場人物の性交描写につなげるあたりがうまいでしょ?

金井美恵子ならではの性描写です。秀逸です。

このことを男友達に話してきかせたら「俺も分け入りたい」といいました。分け入りびたりのくせに。わたしのにじゃないです。

余談ですが。わたし、この本を持っているので、せっかくですから、もう一カ所ご紹介しますね。こんどは幼稚園の先生をしている三女、「内気」な雅江が、幼稚園の年長組の「やすだ・まことくん」の「パパ」(地方新聞社の記者)にドライブに誘われ、ラブ・ホテルで初めて性交する場面です。「やすだ・まことくんのパパ」は「男やもめ」なんです。

〈彼は「三年間禁欲してきた」三十男にしては信じられないほど我慢強く丹念に雅江の官能を「開発」し、いたわりぶかく侵入してかなり長い時間彼女の中にいてから、いい?と耳もとでささやき、雅江は気持ちいいかときかれたと思って、もう両手で隠してはいない顔を曖昧に動かすと、「三年間禁欲してきた三十男」は、このままいっても大丈夫?きみはピルを飲んでないだろ?と言い、雅江が困惑してうなづくと、いったん外に出て、脚をぴったりそろえさせ、ふとももの間にそれをはさむようにして射精した。〉

官能を「開発」するんですよ。なんだか楽しみながら書いている著者の姿が浮かんできませんか?

みなさん、すでにお気づきとは思いますが、著者がつける「」(カギカッコ)が効果的ですね。

金井美恵子はファッション描写もいいですよ。(斉藤さんも本書でファッション音痴ではない例としてあげています)『柔らかい土を踏んで』では登場人物がナイロン製チュール・花柄プリント地(風を通さない素材です)でスカート部分が細いタックをとってあってパニエでふくらませたキャミソール・ドレス(脱がすのも、その後着るのも大変そうです)を着ています。丁寧な描写で像が浮かんできます。読んでいる方も汗をじっとりかきそうです。それに身体にぴったりしたドレスを脱いだ肌には、いくつもの赤いみみず腫れができていそうな気がします。

この本は持っていないので、デティールが違っているかもしれません。

ちなみに前述の朝子は〈ハイヒールにもぴったりあうセクシーなカルバン・クラインのジーンズ〉、進はリーバイスを穿いています。

進は靴はなにを履いていたのか気になるところです。

靴フェティッシュのわたしとしては、朝子のハイヒールのブランド名も知りたいところです。

金井美恵子は斉藤さんも本書で書いているように、食べ物の描写もいいです。やはり『恋愛太平記』で、姉妹が雛祭りにパエリャを作る場面があります。、美由紀(四女)が

〈高校生の同級生の家に遊びに行った時、その家のおかあさんが自慢のブイヤベースを作ってくれると言うので楽しみにしていたら、サフランじゃなくてターメリックで色がつけてあったので呆れた、という話をした。『暮らしの手帳』の料理のページを見て作ったのよ。サフランは少量でも大変高価なものですから、ターメリックを使ってもいいでしょう。同じような色になります、なんて、あの雑誌には書いてありそうじゃないの?〉

と言います。『暮らしの手帳』って、そんな雑誌だったんですね。〈サフランは高価だから家ではターメリックを使うと言っていた、と話し、そういう場合は、パエリャではなくピラフと言うべきだ〉

パエリャにはサフランじゃなくちゃね。色重視ならクチナシを入れたっていいわけですから。

ついでにいいますと、

性描写ではないのですが、武田百合子(武田泰純夫人、武田はなの母)の『富士日記』に、病気の夫、泰純さんを百合子さんが盥で洗う場面があって、百合子さんが夫のペニス(どう表現していたのか、本を持っていないので確認できません)を、愛おしくて、いつまでもいつまでも洗っていたかった、と書いています。

これなんか、まさに武田百合子でなければ書けない文章です。この人は小説家ではなく、エッセイを数冊書きました。どれもいいですよ。

やはり『富士日記』に、わたしが好きで覚えている食事の場面があります。腐りかけた肉をすき焼きにして家族と友人に食べさせているのです。皆が肉を食べているのを百合子さんが見ていて、あ、だれも死なない、と言ったかどうかわかりませんが、いかにも言いそうな気がするんですが、そして百合子さんも食べ始めるるんですね。病気妻(夫)物の慈しみ小説 でくくれそうですね。
島尾敏雄の『死の棘』などがあげられそうです。

森瑤子は斉藤さんによると、広告代理店式カタログ小説の女王です。さすが広告代理店で働いていたことがある、この作家にふさわしい称号ですね。

森瑤子が、働く若い女性がターゲットの女性誌『MORE』
(金井美恵子は『恋愛太平記』で〈ダサイ雑誌)と登場人物に言わせています〉
に連載していた『カナの結婚』について〈モアの読者が読むんだから(性描写も)ここまで書いていいという思いがありました。〉というようなことをなにかに書いていたのを記憶しています。

ちゃんとマーケティングしているんですね。さすがです。

1 ファッション音痴の風俗小説の中で〈ファッションをゆめゆめ軽くみるべからずです。〉とあります。

同感です。

私見ですが、エルモア・レナードはファッションにうるさい作家です。ファッションでキャラクター付けするのが上手でセンスがいいんです。もちろん文章もテンポがよくて小気味いいです。音楽はマービン・ゲイなんかが出てきます。

クインティン・タランティーノが版権を買って何本も映画化しています。

本書を読んで思ったことがあります。

わたしが制作日記でO嬢のことを書くときの記述が、斉藤さんがいうところの〈報告〉なんですね。

〈報告〉は作者の思い入れが入っていなくて愛想がないんです。わたしの場合、小説ではないので、あえてそうしているのですが、

本書による〈小説のようなノンフィクション、山際淳二〉という例もあるわけですから、わたしもちょっと遊んでみようかな?
なんて思いました。

わたしタイピング・ミスも多いのですが、記憶違いもままあって、友達の姪のミイちゃん(昔ロック少女、いまはロック女)から〈マドンナの男食い遍歴〉に間違いがあります、とメイルでチェック入りました。

マドンナ売り出し期間中にくっついていた男はジェリー・フィッシュではなくてジェリー・ビーンだと。

わたし、〈お菓子〉を〈クラゲ〉に変えてしまっていたんですね。ちなみにジェリー・フィッシュはミイちゃんが好きなバンドだそうです。

どんな音なんだろ?

こんど聴かせてね。いつものように話があちこちに飛びました。斉藤美奈子さん、広告業界でも成功しそうですよね。理路整然と説得力のあるプレゼンテーションをして、クライアントをイチコロにするにちがいありません。彼女の処女作『妊娠小説』
読んでみようかな。



Making jewelry
MAY.10th.

ABOUT:
不寛容
go to index
DIARIES  
Re:制作日記
BGM “HEDWIG AND THE ANGRY INCH”Sound Track

よくわたしの作品を買ってくれる友達が、彼女が働く会社で営業してくれて、アルバイトの人から発注を取ってくれた。
マジックワンド・リングをトルコ石で、アクアデリジオッソ・リングをロードライトガーネットで作った。注文をくださったかたは、かなりの美女らしい。友達と注文くださった美女に感謝します。

日曜日の昼日中ジム帰り、いつものようにスッピンで、その日はスーパーで買ったトイレットペーパーを抱えて歩いていたというのに、男に声をかけられた。
自転車に乗った男が、わたしを追い越し振り返って、わたしの顔をチェックし、戻ってきて、わたしの脇で自転車を止めた。
嫌だ。声かけないで。せめて道をきくだけにして。“突然ですが、、、、” なんですか?道?“お友達になりたいと思って” わたし、友達になりたくない。わたしの返答は男を諦めさせるのに充分だった。

黄金週間のさなか、ダンサーがインストラクターのエアロビクス・クラスに出ていた。気がつくとクラスが始まったときにはいなかった、大柄の中年女性が最前列にいた。
その人はミシュランタイヤ・マスコットの体型で、黒五分丈スパッツに黒スポーツブラ、黒キャミソールを着ていた。
リズムにうまく乗れていなかった。
まわりが彼女の出現にざわめいていた。
嘲笑と非難の渦。
小声で仲間同士囁きあっていた。なに?あれ。
彼女を前にも見たことがあった。そのときは、トップは黒スポーツブラだけで、やはり人々の目をうばっていた。はみ出した肉塊に目をうわばれていたのだ。

クラスが終わった後、シャワーを浴びてパウダールームに髪の毛を乾かしに行くと、若い子たちがミシュランオバサンの噂をしていた。
笑いが止まらなかった。よくあんな格好で来るよね。口々に言っていた。若い子たちは不寛容だ。不寛容なのは若い子たちばかりではなかった。若くない女の人たちも、ミシュランオバサンをうろんな目で見て口々に言っていた。凄いねえ。

わたしはミシュランオバサンを応援したい。もっと過激で華やかな格好で最前列で踊ってほしい。なんならわたしがスタイリングを引き受けてもいい。黒レースのボンデージでまとめてあげたい。彼女はまわりの嘲笑など、へのかっぱ、いや、気がついてさえいなかったもしれない。
ずっと気がつかずにアナーキーで突っ走ってほしい。こと服装と肌の露出度に関しては。

わたしは電車の切符売り場などで、横入りする中年女性特有の行動には、心の中で、だから女子供は、、、とひとくくりにされるんだよと悪態つくが、こと服装に関しては鷹揚だ。
件のミシュランオバサンにしたって、まわりの人にぶつかって迷惑をかけていたわけじゃなし、なにを着ていたって、だぶついた肉塊を露出させていたって、いいじゃないと思う。
わたしがミシュランオバサンに対して鷹揚なのは、人がわたしに対しても鷹揚であってほしいという願いの現れだ。

スポーツジムには暗黙の掟のようなものがある。
新参者がスタジオで一番前に陣取っていると、古参者に非難される。新参者は、まず目立たぬように後ろの方でやるべし。
慣れてきたら、じょじょに前進すべし。
暗黙の掟その一。

だが面と向かって非難されることはない。新参者でいる限り。陰で言われるだけだから、本人が気がつかなければ、どおってことはない。
前の方がインストラクターの動きがよく見えるし、どの場所を選ぼうが自由なはずなのに。うまく踊れる者は最前列にいてもよい.
暗黙の掟その二。

わたしのように考える者は少数なのだろう。人々がミシュランオバサンをうろんな目(ダーティ・ルッキングね)で見て陰口をたたくのは、はみ出した肉塊を露出させているからだ。
それはリズムに乗れないのにスタジオの最前列にいることを凌駕する。醜い物は隠すべき。
暗黙の掟その三。

以前通っていたジムにクイーンがいた。聞くところによると、シャワールームでオバサン連中に総すかんにあい、閉め出されたらしい。アングリー数インチが気持ち悪いといって。
わたしは話を聞いて、彼女(クイーンだから)を可哀想だと思った。
アングリー数インチを露出させてシャワールームを歩き回っていたのなら、タオルで覆うように注意すればいいのに。
閉め出すなんて酷すぎはしないか?そしてオバサン連中は、元男に自分たちのハダカを見られたくなかったのだろう。
この人たちに、クイーンの心は女なんだから、と言っても理解しまい。
両性具有者は女子シャワールームに出入り禁止。
暗黙の掟その四。

理解不可能なもの、感覚を共有できないものは排除される。クイーンは男性用シャワールームにも女性用シャワールームにも行けない。行き場がない。

やがて彼女はジムに来なくなった。





inserted by FC2 system